カレイはキスと並んで投げ釣りの人気対象魚です。キスは夏、カレイは冬という季節の住み分けもあり、釣りものが少ない冬季はアイナメと並んで貴重な存在といえます。ただし、キスと違ってカレイは独特の釣り方をしなければなりません。目の前に餌を送り届ければ食ってくるわけではないからです。どのような釣り方をすればいいか、その概略を解説します。
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カレイは「待ちの釣り」が基本なので竿を複数本用意
カレイという魚はお腹が真っ白です。つまり、いつも海底にお腹をつけて生活しています。海の中を泳ぎ回っているわけではありません。移動はゆっくりしています。
そのため、カレイ釣りでは餌を静止させるのが原則です。仕掛けが海底に落ち着いたらそこで止めて、あとはアタリが出るまでじっと待ちます。キスはアタリが出るまで手前に引いてくるのとは違って待つだけなので、効率はあまりよくありません。
それを補うため、竿は複数本準備します。たくさんあればそれだけよく釣れるような気がするかもしれません。しかし、待つだけといってもやることは少なくありません。詳しいことは次で解説します。ここでは、竿は3本以内としておきましょう。
竿を3本程度用意したあと…どこで待つかが問題
厳しい自然界に住む生き物の多くは四六時中餌を食べています。生きていくには食事をしないといけないのです。しかし、餌にはなかなかありつけないというのが実情です。そこで、チャンスがあればいつでも食べるというタイプの生き物が多く、魚もその例に洩れません。
ところが、カレイの場合はいささか事情が異なります。非常に几帳面で、食事タイムにならないと餌を食べないのです。ほかの時間は目の前に餌があっても見向きもしません。カレイの食事タイムは潮や時間が関わっていて、それがいつかはわかりません。そこで、カレイの食欲が湧くまで待たないといけないのです。待ちの釣りというのはそういう意味もあります。
主力ポイントはカケアガリだけど…
しかし、食欲の出たカレイがどこで食べるかはわかりません。それを探るには、いろいろなところに餌を置く必要があります。主力となるポイントはカケアガリとされていますが、それ以外でもアタリは出ますから、例えば3本の竿を出していたとするとそれぞれ異なる箇所に仕掛けを安定させます。わかりやすい例でいえば遠・中・近です。右・中央・左というのもいいでしょう。
さらに、アタリがなければ少しずつ移動させます。5分おきでも10分おきでもいいからリールを巻いて仕掛けを3~5m引きずるのです。また、20~30分も放置しているとヒトデやウミケムシが食べている可能性があり、それを確かめるためアタリがなくても仕掛けを巻き取って餌を確認します。こう考えてくると3本の竿でも結構忙しくなります。5本も出すととても面倒を見切れなくなります。
カレイ釣りは遠投できるタックルが有利
投げ釣りとは仕掛けを遠くへ飛ばすことだと思っていませんか?
ここでいう「遠く」とは、投げ釣りにおける遠投を指します。大まかにいって、投げ釣りでは30m、60m、90mで近投、中間、遠投を区分します(人によって若干の差はあります)。
投げ釣りでも30mラインを釣ることはあります。特に防波堤でカレイを釣る場合は港内に竿を出すことも珍しくなく、そのときは20~30mしか飛ばしません。
したがって、カレイ釣りで遠投する必要はない……わけではありません。釣り場などの条件によっては90m以上の遠投が必要な場合もあります。
中間距離までしか飛ばせないタックルを持参していてそれでアタリがなければどうしますか?
釣りはすべてトライ&エラーの繰り返しです。これでダメならこうする。それでもダメならこれを試す。それを何度も続けます。近投や中間距離でアタリがなければ遠投するべきでしょう。
それを可能にするのは遠投できるタックルです。竿、リールはいうに及ばず、道糸やオモリについても常に遠投モードで臨む必要があります。遠投用タックルなら近投~中間も十分釣ることができるのです。
大型のカレイは流れが速いところに
カレイが生息しているのは砂地です。
といっても、純粋な砂地には意外に少なく、石や岩礁帯が点在しているところに多いようです。
ポイントとされているのはカケアガリのほかに潮目や反転流などの潮の変化がある地点です。
ということは、潮の動きがいいエリアという意味で、昔から流れが速いところは大型の実績が高いようです。
そのため、50㎝クラスのザブトンガレイを釣りたいときは大型の釣り場として名高い潮の速いところを選択します。
その場合、仕掛けは速い流れに対応したものが必要になります。オモリが軽いと着底したとしてもどんどん流され、根掛かりする恐れがあるからです。
といっても、この根掛かりにはプラスマイナスの両面があります。根掛かりがマイナス材料というのはわかりますが、プラスというのは理解しにくいかもしれません。カレイ、特に大型のカレイは障害物の周囲でヒットする確率が高いからです。
根掛かりのないフラットな地形と、根掛かりのリスクはあっても大型の可能性が高い箇所があれば、あなたはどちらを選びますか?
30号のオモリでガッチリ固定するか、15~20号で潮に乗せてあえて根掛かりさせて障害物の周囲を釣るか。これは大きな選択です。
ムシ餌は大きいほどヒット率は高くなります
カレイの餌はムシ類と相場は決まっています。
投げ釣りではムシが定番ですが、カレイ釣りで注意したいのはその大きさです。
近年、ムシ餌といえばアオイソメがメイン。値段が安く供給が安定しており、どこでも手に入るからです。
しかし、カレイには不向きです。
高価ですがイワムシ(マムシ)の方がヒット率は高く、それも大きくハリに刺すほどカレイの目に留まる可能性は高くなるようです。
各地にはそこでしか流通していないムシ餌がありますが、カレイ釣りに実績が高いのはいずれも大きいものばかりです。
細いムシしか入手できなかったときは2匹掛けにするなどの工夫が必要です。
平均してカレイのアタリは小さく、しかも一瞬しか表れません。穂先が一瞬お辞儀したり、道糸が大きくフケたりします。
その瞬間を目撃できればいいのですが、大半は見逃してしまいます。それもあって、5~10分おきに仕掛けを引きずるのです。カレイが食っていればこの時点でわかりますから、竿を大きく立ててアワセます。
カレイといえば、煮付け・唐揚げが人気メニューです
カレイは古くから日本の食卓に上ってきました。その美味しさは万人の知るところであり、今さら解説する必要はないでしょう。ただ、いくつか確認しておきましょう。
日本の沿岸で釣れるカレイは主にイシガレイとマコガレイの2種類です。大きくなるのはイシガレイの方で、50㎝を超えるサイズも珍しくありません。
ただ、匂いにやや癖があり、美味しさの点ではマコガレイに軍配が上がります。
面白いことに、一般的な評価ではマコガレイ、イシガレイとも旬は夏~秋とされています。釣りのシーズンは秋~春で、釣り人にとってはこの時期に美味しいカレイが食べられるのですから、時期は真反対です。
料理方法としては煮付けが一番人気があります。淡白な白身ですから、薄めの味つけをすれば子どもからお年寄りまで美味しく食べられます。次いで人気があるのは唐揚げです。小型のカレイは高めにした油でカラッと揚げれば中骨ごと食べられます。そこそこ大きければ塩焼きもおすすめです。煮付けや唐揚げとはまた違った味が楽しめます。
まとめ
基本的に、カレイ釣りはのんびりモードです。イスに腰かけてコーヒーを飲んだりカップラーメンを食べたりしながらアタリを待つというのが通常のスタイルです。
といって、ヒマではないことは説明しました。仕掛けを移動させてカレイの目につきやすくしたり、食っていないかを確認したり、ときおり仕掛けを巻き取って餌を交換しなくてはなりません。食欲が湧いたときは時間をムダにせず、効率よく釣り上げて数を稼ぎましょう。