ヒラメ

ヒラメはいわずと知れた高級魚です。刺身や寿司ネタとして知らない人はいないほど日本人にはなじみのある食材で、これが釣れるとしたら釣りの経験がない人でもやってみたいと思うでしょう。ただ、このヒラメ釣りにはほかの釣りには見られない大きな特徴があります。それが生きた小魚をエサにするということです。元気よく泳ぐ魚をエサにするこの釣り方は泳がせ釣り、関西では飲ませ釣りといわれています。そんなヒラメ釣りを紹介しましょう。

 

エサはイワシ、小アジ、キス、ハゼなど

ヒラメの好みは人間と大きな違いはなく、食べて美味しい魚が大好物です。どこでも簡単に釣れるスズメダイ、フグ、グレやアイゴの幼魚、ネンブツダイなどは喜びません。毒のあるアイゴやフグはともかく、グレ、スズメダイはトゲが硬くて鋭いため丸呑みにしにくいからでしょうか。そのため、イワシ、小アジ、キス、ハゼが中心となります。

とはいえ、これらのエサがいつでも手に入るかとなるとなかなか難しいところがあります。

大半は夏場が中心で、他の時期は入手できたとしてもサイズが大きくなりすぎてエサには向かないのです。

では、ヒラメ釣りの時期はいつかというと、釣れるのは1年中で、時期や場所によってサイズや数に差があるのはもちろんですが、人気が高い船釣りで釣り客が集中するのは冬です。なぜか?

1年中美味しいヒラメにも旬があり、それが11〜2月だからです。脂が乗り、身が締まるのです。

ところが、この時期に手に入るエサは限られます。アジもキスもハゼも数は少なく、サイズは大きくなってしまいます。そのため、船釣りではほとんどマイワシをエサとして使用しています。

もっとも、夏場に防波堤でこの釣りをする場合はまず小アジ、キス、ハゼを釣り、それをエサにします。この時期なら手に入れやすいからです。

 

タックル&仕掛け

ヒラメは水深20〜60mの砂地、または砂礫底に住んでいます。近くに岩礁帯があるところを好みますから、船はそんなポイントを流していきます。海底はまったくのフラットではありません。多少の起伏があり、それに合わせて仕掛けを上下しなければならず、竿は1日中手持ちにする必要があります。

竿(ロッド)

2.4〜3.0mで腰が強く、オモリ負荷30〜50号というのが標準です。エサである小魚の動きを敏感に表現し、ヒラメのアタリに対しては抵抗なく食い込ませる軟らかさを持った穂先の専用竿が理想的です。

リール

中型の両軸リール

道糸

PE2〜3号

先糸

フロロカーボン6〜8号1m前後

道糸の先に接続し、その先端には親子サルカンを結びます。

ハリス

フロロカーボン5〜8号60㎝〜1m

付け根の10㎝ほどを2本ヨリにして仕掛け絡みを防止する方法もあります。

親バリ

丸セイゴ17号、ヒラメバリ17号、チヌバリ7号など

元気な小魚をエサにする場合は親バリ、孫バリの2本バリを用います。親バリは大きく、イワシの口に掛けます。エサが小さいときは細軸の伊勢尼を用います。12〜14号がいいでしょう。

孫バリ

トリプルフック(ヒラメ用イカリバリ)8号、伊勢尼12号

親バリから6号前後のハリスを出し、その先に孫バリを結びます。ハリスの長さは10〜15㎝で、孫バリは背ビレ、または肛門の近くに刺します。親バリと孫バリの間はたるみがない方がいいので、エサのサイズに合わせて孫バリのハリスの長さを調節します。

オモリ

30〜80号

親子サルカンから捨て糸を出し、その先にオモリを結びます。捨て糸はフロロカーボン3〜4号を30㎝〜1m取りますが、この長さに応じてハリスを長くしたり短くしたりします。

 

アタリとアワセ

エサのイワシは優しく取り扱いましょう。水中に手を突っ込んで体を軽く握り、親バリ、孫バリを刺したら静かに海面に下ろします。あとは一気に海底へ送り込み、オモリが1mほど底を切ったところでアタリを待ちます。昔から「ヒラメ40、マゴチ20」と伝えられているように、アタリが出てから食い込むまでの時間が長いのがヒラメの特徴で、すぐアワセてもまずハリには掛かりません。

多くの場合、竿先にはモゾッ、またはググっという前アタリが出ます。これはイワシが脅威を感じて逃げ惑っている動きです。「ヒラメ40」とはそれから40カウントしなさいという意味で、ヒラメは捕食したイワシをくわえて少しずつかじります。この段階ではじっと待つか、または少し送り込んでおきます。そして、完全に口の中に入れたところでヒラメは動き始めます。その動きが大きく竿先に表れますから、その時点でアワセればハリ掛かりする確率は高くなります。

ヒラメは絶対数が少なく、それほど数が釣れる魚ではありません。数少ないアタリが出たら確実にハリに掛けるように慌てずにアワセを入れてください。

 

料理

ヒラメのように大きい魚を美味しく食べるために忘れてはならないことがあります。それが締め&血抜きです。釣り上げた魚をそのままクーラーボックスに直行させると暴れて血が全身に回り、格段に味が落ちてしまいます。そこで即死させて、さらに血を抜いて身に血が回るのを防ぎます。ヒラメの簡単な締め方はエラからナイフを入れて中骨(脊椎)を切り落とすという方法です。こうすれば締めと血抜きが同時にできることになります。尾の付け根にもナイフを入れて体全体を折り曲げると血はほとんど抜けてしまいます。

冒頭で触れたようにヒラメの白身は上品で、刺身や寿司ネタとして非常に人気がありますが、焼いても煮ても美味しく食べられます。大型が釣れたときは同じ調理方法では飽きるため、ムニエルを試してみてください。小麦粉をまぶしてオリーブオイルとバターで焼くだけだから簡単です。

 

まとめ

元気な小魚をエサにする釣りは数が少なく、体験できる機会は少ないと思います。しかし、魚を食べる魚はおおむね高級魚が多く(ブリやカンパチ、ハタ類、ソイなど)、いずれも食べて美味しく、釣り方はどれもよく似ています。大物の引きも堪能できますから釣り人の狩猟本能を十分満足させてくれます。ぜひ挑戦してみてください。

 

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