カサゴ

カサゴという魚は、身近で、親しまれているという点では海の魚の中ではトップクラスといっていいでしょう。その証明として、地方名の多さがあります。標準和名はカサゴですが、関西ではガシラ、山陰ではボッコと呼ばれています。九州ではアラカブ、ガラカブ、ホゴと狭いエリアながら三通りの方法で呼ばれています。広く親しまれている理由は、時期を問わず、初心者でも簡単に釣れ、しかも食べて美味しいからです。

 

岩礁帯に住むため根魚と呼ばれています

この魚は岩陰に身を潜め、エサが泳いでくる、または落ちてくるのを待っています。そして、エサが近づくと物陰から出て、その大きな口でひと呑みにします。エサを追いかけることはしません。ですから、エサを魚の近くに届けなければなりません。

カサゴが住んでいるのは前述したように岩陰や海溝、穴の中、テトラの隙間などです。根(海底の岩礁帯)を住みかとしているため根魚(ねざかな)と呼ばれています。根魚としては他にアイナメやメバル、クロソイ、タケノコメバル、ハタ類がいます。いずれも食べて美味しい魚ばかりです。代表的な料理は味噌汁、煮付けですが、唐揚げにしても刺身にしても(大物に限られますが)喜ばれます。

 

代表的な釣り方は穴釣り

海底に潜んでいるカサゴを釣る代表的な方法が穴釣りです。これは穴の中に隠れているカサゴにエサを送り届けるため、重たいオモリで仕掛けを一気に沈めるというものです。上層〜中層でカサゴがアタることはほとんどありませんから、これは理にかなった方法といえるでしょう。

ただし、底を釣る以上、根掛かりが非常に多いのは避けられません。それをできるだけ防ぐために考え出されたのがブラクリ仕掛けです。オモリの先に3〜5㎝と極端に短くしたハリスを結んだもので、こうすることで根掛かりをかなり減らすことができます。また、一番下にオモリを結び、そのすぐ上から枝バリを出す胴付き仕掛けも効果があります。

 

カサゴはなんでも食べます

体型を見ればわかるように、カサゴは素早く泳ぐことができません。近づいてきたものならなんでも食べなければ空腹を満たせないから、はっきりいって悪食です。オキアミはもちろん、イソメなどのムシエサ、魚の切り身、さらには岩に付着している貝類、フジツボ、カメノテでも食ってきます。

そのため、専用のエサを用意していなくてもグレ釣り、チヌ釣りの途中で楽しめますし、いよいよエサがなくなれば釣り上げた魚をその場で開き、切り身にするという方法もあります。ルアーに用いるワームでも十分ヒットします。目の前でヒラヒラさせると思わず食いついてしまうのでしょう。この動きはどんなエサでも欠かせません。魚の切り身をエサにする場合は短冊にして端の方にハリ掛けします。そうすればヒラヒラという動きを演出できます。

 

穴釣りは潮が引いたときがチャンスです

堤防でカサゴを釣る場合はテトラの隙間や捨て石の間が主なポイントとなります。そんなところを釣るには3m前後の短い竿を使って干潮時に釣ることをおすすめします。潮が引くと捨て石や沈んでいたテトラが顔を出し、穴や隙間を見つけやすくなります。足元の穴に的確に仕掛けを落とすはに短い竿の方がベターです。竿が長いと狭い隙間に仕掛けを落とすのが難しくなります。できれば、リールは両軸タイプの方が使いやすいのですが、手持ちになければスピニングでも十分です。

道糸、ハリスにこだわる必要はありません。どんなに太くても根魚は気にしないからです。ただし、あまり太いと根掛かりしたとき切るのが大変です。ハリスはせいぜい2〜3号にしておきましょう。オモリは5号前後が妥当です。ハリは大きめを使ってください。チヌバリなら5号前後は必要です。ハリが小さいとすぐ呑み込まれますから、1匹釣り上げるたびにハリを結び直さなければなりません。ハリスが太いのと同様、ハリが大きくてもカサゴはまったく気にしません。

 

オモリで海底を叩きます

釣り方はこうです。エサを付けた仕掛けを穴に静かに落とします。オモリが底に着いたら小さく上下してエサを踊らせます。カサゴがいると一気に食ってきますから、竿先にアタリが出たらすぐにアワせ、魚を穴から引き抜きます。ぐずぐずしていると隙間に潜り込まれ、取り込めなくなります。

カサゴが釣れた穴は住みやすいらしく、一週間ほどすると別の魚が住みついている可能性があります。一度ヒットした穴を覚えておいて(難しいですが)同じところを釣るとまた食ってくる可能性があります。

なお、水温が高くエサ取りが多い時期は、日中だとオキアミやイソメ類はすぐ食べられてしまいます。エサを落とした直後から小さいアタリが出て、すぐにハリ先から消えてしまうでしょう。ワームがすぐボロボロになることも珍しくありません。そういう場合は夜釣りをおすすめします。ただし、足元には十分注意してください。

 

まとめ

誰でも簡単に釣れるというのを裏返せば、すぐに大半が釣られてしまうことを意味しています。イワシやアジのような回遊魚と違ってカサゴはテリトリーを作りますから、絶対数ははるかに少ないと思ってください。そのため、アクセスが簡単なところは大型がほとんど姿を消してしまいました。大都市の近郊で型と数を望むなら船で沖に出なければ難しいというのが現状です。少なく釣ってたくさん楽しむ…今はそんな時代です。

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