近年、カワハギ釣りの人気が高まっています。
沖釣りながら大都市近郊でもよく釣れて食べて美味しく、さらにゲーム性が高いというところが人気の秘密でしょうか。
最後のゲーム性が高いというのがミソで、はっきりいって「ウデの差」が見事に表れます。
初心者がようやく5、6匹釣る間に名手は10匹も20匹も釣っていることが珍しくありません。
その違いはなんなのか?わかりやすく解説してみました。
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タックルが違っていませんか?
広く伝えられているように、カワハギという魚はヘリコプターのようにホバリングしながら餌を食べます。
そのためアタリがわかりづらく、気がついたら餌がなかったということがしばしば発生します。
その対策のひとつが感度の高い竿を使うことです。
沖釣りに用いる竿はオモリ負荷が大きく短いというのが最低条件ですが、そうであればなんでもいいというわけではありません。
小さいアタリを敏感に察知するカワハギ専用竿というものがこの世にはあります。
釣りをしている間はほとんど手持ちですから軽いことも条件のひとつです。
次にリールを見てみましょう。
これも軽いことが条件ですから小さい方が有利です。
カワハギが生息するのは水深20m前後のエリアで、深くても50mまでです。
船の真下を釣りますからラインはそれほど長くは必要ありません。100mもあれば十分です。
電動も必要なければ、10号を200mも巻かなくていいから大きなリールも不要です。
小さくてコンパクトなベイトキャスティングリールが理想です。
仕掛けが間違ってはいませんか?
カワハギ釣りでは一番下にオモリがある胴付き仕掛けを使います。
オモリが仕掛けを張るから小さいアタリを取りやすいのです。3本針の市販仕掛けが販売されており、それを使うのが一般的です。
ただし、それを最初から最後まで使うのは感心しません。
根掛かりして高切れしたときは当然交換しますが、ハリスが切れたりヨレたりしない限り仕掛けはそのまま使い続けるのが初心者の常です。
ところが、カワハギ釣りでは針先がすごく大切なのに損傷しやすいのです。
アユの友釣りを経験したことのある人はご存じだと思います。アユの掛け針は非常に大切なのに川底の石などに接触して損傷しやすいのです。
カワハギ釣りでは硬い皮や口が石に当たります。針の素材である鉄がそんなもので損傷するのかと思うかもしれません。しかし、非常に鋭い針先は細く、皮や口に当たっただけで折れたり曲がったりするのです。
カワハギ釣りではシャープなアワセを行うことはまれです。聞きアワセ程度の動きで針に掛けるのです。それには鋭い針先が欠かせません。
針先は常にチェックし、鋭さを失ったら即交換しましょう。枝スの長さは5〜6㎝と短いので結び直すのは無理です。ハリスを結んだ針を準備しておき、ハリスごと交換します。
このとき、自動ハリス止めを利用すると簡単です。ベテランは1日に30本から50本は交換します。カワハギ用の針はいろいろな種類が販売されています。いろいろ試してみてください。
サイズは5〜7号がメインです。
中オモリと先オモリ
カワハギのサイズは10〜20㎝が多く、魚の中では小型の部類に入ります。
強く引くことはなく、ラインもハリスも太くする必要はありません。
ただ、小さいアタリを取るには伸びのないライン=PEがお勧めです。0.8〜1.5号を100mリールに巻き、その先端に市販仕掛けを接続します。
ただし、カワハギ釣りではラインと仕掛けの中間に中オモリを使う人が少なくありません。
これは仕掛けを上下したときの操作性をアップさせるもので、水深20mでは2号を使うと覚えておけばいいでしょう。
もっとも、これがあるとアタリがわかりづらくなるという理由で使わない人もいます。
また、オモリの代わりに集寄(集魚板)を使用する人も多いようです。
カワハギは好奇心が旺盛で、キラキラ光って目立つものがあると近寄ってくるという習性があります。集寄でカワハギを寄せて、1匹でも多く釣るためのアイテムといっていいでしょう。
同じ理由で、先オモリも目立たせます。カラーリングしたり光らせたりと釣具店にはさまざまな趣向を凝らしたオモリが販売されています。通常の鉛色のオモリではカワハギの好奇心を満足させることはできないでしょう。
号数は水深や潮の速さによって替えます。標準は25〜30号です。
餌はアサリを小さくまとめます
投げ釣りやミャク釣りでもカワハギは釣れますが、その場合はムシ餌をメインにします。
しかし、沖釣りではアサリのムキミを使う人が圧倒的に多いというのが現状です。
装餌するのに手間がかからず、身がしっかりしているからです。
餌が軟らかいとすぐカワハギに掠め盗られてしまいます。ムシ餌は頭の部分が硬く、そこだけなら使いやすいのですが、胴〜尾は軟らかくてすぐ食べ尽くされて適当とはいえません。カットする手間もかかります。
アサリは生にしろ冷凍にしろ、水気を切って塩をまぶすと身が締まります。
針に丸ごと一個刺しますから手返しも早いのです。ただし、刺し方には注意しないといけません。簡単には盗られない刺し方をしなければならないのです。
標準は水管を横から刺し、針を捻って黄色のベロの部分を通します。そして、最後に黒っぽく見えるワタに針先を刺します。決して針から垂らすことはしません。垂らすとすぐに盗られてしまうからです。
誘いと聞きアワセが必要です
何度も触れているように、カワハギのアタリは非常に小さく、油断するとすぐに餌を盗られてしまいます。他の釣りのようにアタリを感知してアワセるという釣り方をしていたのでは、わずかしか仕留めることはできません。
では、どんな釣り方をすればいいのでしょう?
それが誘いと聞きアワセです。聞きアワセというのは通常のアワセではなく、竿に乗っているかどうかを確かめるためゆっくりと竿を上げる動作です。
誘いにはいろいろなパターンがあります。
代表的なのは、先オモリを海底まで落としたら、オモリを海底に落としたままで竿先を10〜20㎝上下させます。すると、餌は海底で踊ります。これをタタキと呼んでいます。竿先を静止させてカワハギが食う時間を与えると、そのときアタリが出る確率が高いのです。ルアーでいうポーズです。ツンツンというアタリが出たらゆっくり竿先を上げます。針先が鋭いとそれだけで十分針掛かりします。
アタリがなければ竿先を下げて仕掛けをたるませます。
この場合、仕掛けはフケていますから竿先にアタリは出ません。そこで、アタリのあるなしにかかわらず竿先をゆっくり上げます。これも聞きアワセです。たるませるのをもっと押し進めて底に這わせることもします。3本の針すべてを底に這わせ、それから聞きアワセをします。ただし、この釣り方は根掛かりする可能性が高くなりますから、岩礁帯ではやらない方がいいでしょう。
先オモリで海底をトントンと叩いたりと誘いをかける方法はほかにもさまざまにあります。カワハギに限らず魚の学習能力は意外に高く、同じパターンの誘いはすぐに効果がなくなるからいろいろと試す必要があるのです。
カワハギのキモは絶品です
カワハギはシーズンに関係なく釣れる魚です。
もちろん、釣りやすい時期・釣りづらい時期はありますが、望めば1年中釣れるといっていいでしょう。しかし、人気が集中するのは冬です。理由はキモ(肝臓)が肥大するからです。
もともとカワハギは美味しい魚として知られています。フグに似た食感で刺身、唐揚げ、煮付け、鍋とどんな料理にも合いますが、カワハギ特有の美味しさを味わえるのがキモです。さっと湯通ししてワサビ醤油に溶かし込み、刺身にまぶすキモ和えはまさに絶品といっていいでしょう。このときの刺身は糸造りが合います。ウナギのようなキモ吸いも人気があります。
まとめ
カワハギ釣りは魚とのゲームです。
餌を盗られたら魚の勝ち、針に掛けたら釣り人の勝ちというわけです。タックルや仕掛け、釣り方を工夫してなんとかゲームに勝とうとするのが釣り人です。カワハギはパターンを学習してこういう動きは危険だと知り、容易には口にしなくなります。そこで、また違う誘いをかけてなんとか食わせようとします。うまくいって針に掛けたときの満足感は何物にも代え難いものがあります。
大きい魚は時期や場所に限りがありますが、カワハギが釣れる場所は広く、前述したように1年中釣れるという特徴もあって人気が出たのでしょう。乗り合い船も登場して手頃な価格で釣りができるようにもなりました。沖釣りは船酔いの心配があり、すべての人が楽しめるというわけではありませんが、カワハギ釣りの魅力はゲーム性の高さにあるといっていいでしょう。